石綿除去工事
アスベスト除去工事には、その飛散の状態にあわせて3つの区分に分けられています。レベル1~レベル3と規定されており、それぞれのレベル(飛散の可能性を大小の区分)に合わせた規制や除去工法がとられています。
レベル1
吹付石綿
レベル2
耐火被覆板、断熱材、保温材
レベル3
スレート、Pタイル
【事前調査】
建築物の解体、石綿の封じ込め、囲い込みの作業をする場合、あらかじめ石綿が含有しているかどうかを建物の設計書等により調査します。設計書等がない場合や不明な場合は、直接吹付材や壁材、床材、保温材等を採取し石綿分析を行います。
【作業計画】
解体や封じ込め等を行う業者は、あらかじめ作業計画書を作成し、所轄の自治体及び所轄の労働基準局等に届出なければなりません。
【隔離・養生】
吹付石綿の除去を行う場合は、作業場所を立入禁止とし、除去区域は隔離を行います。隔離は通常プラスチックシート等を用いて養生していきます。また、出入口には、前室・洗浄室・更衣室の3室で構成したセキュリティーゾーンを設置し、二次汚染を防ぎます。作業場内では、負圧除じん機を運転し負圧(場外から場内に空気を引き込む)をかけます。
【アスベスト除去】
アスベスト除去の方法については、(財)日本建築センター(BCJ)で審査・証明を受けた技術で除去しています。通常一般的には、吹付石綿を湿潤させ、けれん棒やけれんべら等ではぎ落とします。石綿吹付材等をきれいに落とした後、飛散防止剤を塗布します。はぎとった吹付材等は廃石綿である旨を表示した袋に入れ、特別管理産業廃棄物として処理されます。また、隔離・養生に使用したプラスチックシート等も同様に処分されます。
(BCJで審査・証明を受けた技術によって工法が異なります)
【特別教育・作業主任者】
工事を行う業者は、石綿作業主任者を設置し、除去工事を行わなければなりません。また、作業を行う者も石綿についての特別教育を受けた者である事になっています。
【大気中・石綿濃度測定】
吹付石綿を除去する場合、石綿の空気中の濃度を測定しなければなりません。石綿の空気中の濃度を確認する事で、作業が適正に行われていることがわかります。測定の時期や場所は、国土交通省(平成16年版 公共建築改修工事標準仕様書)が定める表を基に各工事において事業者が選定し、計画書に記載しています。
出:国土交通省 平成16年版 公共建築改修工事標準仕様書 建築工事編
表9.1.1 アスベスト粉じん濃度測定
測定時期
測定名称
測定場所
測定点
(各施工箇所ごと)
備考
処理作業前
測定1
処理作業室内
各2点又は3点
(注)1
測定2
調査対象室外部の付近
計2点
大気
処理作業中
測定3
測定4
負圧・除じん装置の排出吹出し口
出口噴出し風速1m/sec以下の位置各2点
-
測定5
処理作業室外
4方向各1点(敷地境界)
処理作業後(シート養生中)
測定6
各2点
処理作業後シート撤去後1週間以降
測定7
測定8
(注)1.各施工箇所ごとの室面積が50平方メートル以下は2点、300平方メートル以下はまでは3点とする。300平方メートルを超えるものは、監督職員と協議する。
表9.1.2 アスベスト粉じん濃度測定方法
測定1、2、4、6、7、8
計数機器
位相差顕微鏡
メンブレンフィルタの直径
25mm
47mm
試料の吸引流量
1L/min
5L/min
10L/min
試料の吸引時間
5min
120min
240min
試料の透明化
アセトンートリアセチン法又は、シュウ酸ジエチル法
計数条件
総アスベスト繊維数
200本又は視野数50視野
計数アスベスト
直径3マイクロメートル未満、長さ5マイクロメートル以上、長さと直径比3:1以上
定量限界
50f/L
0.5f/L
0.3f/L
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